「接点接種」・・・老若がふれあう接点からワクチン接種を

緊急事態宣言が解除されることになった。解除される前から、渋谷など繁華街の人出は目に見えて増えており、一足先に解除された関西でも感染者は増加している。リバウンドはすでに始まっているという専門家もおり、年度末・年度初めに花見が重なるこの時期。しかも変異型が明らかに広まりつつあるなか、宣言解除、段階的緩和というステップをこのまま踏んでいけば、おそらく取返しがつかなくなるのではないだろうか。

とはいえ地方中心に経済はもはや瀕死の状態。なんとか再起動させたい為政者の思いもわかる。

そこでひとつ提案したいのが、若者と高齢者の棲み分けである。すでにアイデアレベルで提案されている方も内外にいらっしゃるが、それを都市圏でほんとうに実行してはどうだろう。

つまり若者は若者だけの集団にいるかぎり、感染しても重篤化する可能性はかなり低い(だから外出している)。そして高齢者も家に閉じこもっているかぎりは基本的に感染しない。棲み分けをすることによって、若者中心に経済をまわしていけるということにもなる。

考えなければならないのは、若者と高齢者の接点である。

たとえばオフィスでは若者は出社、高齢者はオンラインという棲み分けをする。飲食店も若者経営の店は若者だけを受け入れ、高齢者が経営する店は高齢者だけを迎える。

どうしても棲み分けができない場所・業種には、ようやく導入されたワクチンを活用する。限られた量しか入手できないのだから効率よく使うことが何より重要だ。たとえば介護施設では接点にあたる介護福祉士のみなさんから接種を始める。移動のすくない高齢入居者全員に接種するよりはるかに効果的ではないだろうか。高齢者のなかでも、学校などの教育施設で若者に教える指導者を優先すれば限定的な量で対応できる。

若者と高齢者が同居する家庭もあるが、1都3県や関西の都市部では数も限られるだろう。そうした家庭の高齢者は優先接種すればよい。

そうは言っても世の中そううまくはいかず、高齢者のなかに紛れ込もうとする若者はともかく、若者の施設にはいりこみたい高齢者は出てくるだろう。そうした人々が救急車で運ばれる例は後を絶たないだろうが、それでも現状よりは病床にも余裕が出てくるのではないか。

若者と高齢者の線引きはどうするかという問題については、重篤化した人びとの年齢から割り出すほかないだろう。たぶん50代半ばから60歳くらいか。

もちろん、それによって社会における若者と高齢者の分断が生じる危険性もないとは言えない。ただいずれにせよ、感染がおさまるまでの話だ。全国民のワクチン接種が見通せない中、このままずるずる自粛→我慢の限界→感染拡大→ふたたび自粛というサイクルを続けるよりはるかにましだと思うのだが、いかがだろうか。